昔ながらのかつお節(2) ~焼津・ヤマ十増田商店~

感謝・感動・歓喜!

かつお節にするための鰹は、油が少ないものがよいという。日本近海では、南から北上してくる春の初鰹と、北から南下する戻り鰹がある。どちらも脂が乗っていて、かつお節には適さない。

現代では、主に赤道付近で獲れた脂の少ないかつおが使われている。まぐろ節が一般的に存在しないのは、まぐろは脂身が多いからだという。

ちなみに、かつお節の全国生産のシェアは、鹿児島県が約七割、静岡県が約三割で、その二県で全国シェアのほとんどを占めている。高知県もかつおが有名であるが、近海物が多く、かつお節はほとんど作られていない。現代では、一般家庭でかつお節を削ることはなくなった。その為、「かつお節削り」の商品をかつお節と表現することも多い。かつお節をかんなで削った「かつお節削り」となると、産地は鹿児島、焼津に限られず、各地に削り業者がある。

一般的に、かつお節というと、かびが着いたものを思い起こす。かび付きのものを本枯節という。荒本節にかびの菌を付着させたもので、内部の水分や脂肪を吸い出す。

荒本節と本枯節のどちらが良いかは好みだそうだ。ただ、一般的には澄んだだしを摂りたい場合は、本枯節が良いとのことだった。そもそも、本枯節の起源は、江戸時代にまで遡る。土佐で作られたかつお節を江戸まで船で運んでいるときに、船内でかびが付着し、それが良いだしが出ると評判になり、広まったといわれている。偶然の産物だったのだ。土佐から近い関西では、江戸時代からかびが付かないまま消費されたため、関西では関東ほど、かび着きが良いという文化はない。

けずりたて工場直売所
平成28年度 農林水産大臣賞受賞

工場見学にも感動したが、店主のかつお節へのうんちく、エピソードも面白い。帰りに手火山式の「かつお節」を購入し、家で削ってみた。「かつお節削り器」で、カンナで削るたびに、豊かな香りが広がってくる。他の「かつお節」とは比べものにならない。

もちろん、「手火山造り」のパックに入った「かつお節削り」も、厚削り、花かつお、粉かつおなど各種ある。それも一般に流通している商品に比べると、はるかに香りと風味がある。

現代の食品業界は、機械化が進み、効率的に生産することを重視するようになった。そんななか、昔ながらの「手火山造り」の製法にこだわり続ける「やまじゅう」さんは素晴らしい。たくさんの量は作れないが、すべてに目が行き届いた品質の良いかつお節だ。工場を見学させて頂き、ファンになった。これからは、「やまじゅう」さんのかつお節を食べていきたい! 

感謝、感動、歓喜!!!

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