富士山と雲(2) ~阿部正直博士の研究~

感謝・感動・歓喜!

「富士山と雲」の研究に生涯を捧げた、阿部正直博士のことを知りたくて、御殿場市にある「富士山 樹空の森」を訪ねた。

ビジターセンターにある「富士山天空シアター」展示室に、富士山の歴史・信仰とともに、富士山頂での気象観測の歴史が展示されていた。

展示室を入ると、すぐに「富士山と雲」のコーナーがある。博士が発明した「立体写真箱」で、立体的に富士山の写真を見ることができて楽しめる。

富士山と雲コーナー

富士山天空シアター

博士は、備後国福山藩最後の藩主阿部正桓の長男として、明治二十四年(一八九一)に東京で生まれた。大名華族の家柄で、父の影響もあり、子供の頃から映画に惹かれ、撮影機にも深い関心を持って育った。自然科学が好きで、東京大学理学部物理学科を卒業した。

大正十四年(一九二五)に、寺田寅彦博士に自身の研究について相談したところ、「雲撮影して研究したらよい、またそれには立体撮影も必要だ」と言われた。「それが自分の望む方向であると痛感し、堅い決心がついたのである」と著書に記されている。

昭和二年(一九二五)、私財を投じて、御殿場市に「阿部雲気流研究所」を設立した。撮影技術を駆使して、「富士山と雲」の研究に没頭した。戦後は中央気象台研究所長などの要職に就くが、最初は私財を投じて研究を続けた情熱に感服した。

博士の雲についての記述があった。「雲は眼に見えない空気の状態を暗示する道しるべであり、奇術でいえば雲は結果としての『演出』であり、大空の空気の流れは『たね』『仕掛け』に当たるのである」。

つまり、雲を見れば、大気の流れが想像できるのだ!これから、より一層「富士山と雲」見る楽しみが増えた。身も心も『富士山と雲』の研究に生涯を捧げた阿部正直博士の人生に、感謝、感動、歓喜!!!

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