市中心部の三木城址には金物神社がある。
天目一箇命(鍛冶の祖神)、金山毘古命(製鋼の祖神)、伊斯許理度売命(鋳物の祖神)をお祀りし、毎月「古式鍛錬」の実演もしている。
神社の隣には「三木市立金物資料館」があり、「三木金物」の事を詳しく知ることができる。

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同館は金物の原料、製鉄方法、各種大工道具の作り方、変遷などの実物資料が見やすく展示されていて見応えがある。三木の金物にかける熱い情熱が感じられる。
明治以降、洋鉄が使用されはじめ、製鉄工程の合理化が進み量産ができるようになった。それまでは、「たたら」と言われる日本独特の製鉄技術で鉄を作っていた。
炉に薪を入れて燃やし、その火種に木炭を入れて風を送って炎を上げ砂鉄を入れる。3日か4日間、30分ごとに砂鉄と木炭をかわるがわる炉に入れていくうちに、木炭から一酸化炭素が発生し、砂鉄から酸素が取り去られて鉄になる。
不眠不休の重労働である。それから金物を作る鍛冶仕事も、熱いうちに鉄を鍛錬する重労働だ。
時代に合わず今は歌われなくなった文部省唱歌「村のかじや」にその重労働が謳われている。同館には、「村のかじや」の記念碑があり、近づくとメロディが流れ鍛冶仕事の苦労と誇りを伝えている。
工業化が今でも金物仕事は重労働である。そして、現在も伝統的な作り方をしている職人もいる。


しかし、「三木金物」も危機を迎えている。それは道具を使う大工がいなくなってきたからだ。
現代の建築はほとんど工場で機械加工され、大工が技量を発揮することが少なくなった。その為、良質な道具よりも安価で使い捨て感覚の物が売れるようになった。
三木でも工業用の刃物や現代的な金属製品も作られているが、伝統的な「三木金物」を使うユーザーは減る一方である。
そんな中、欧米などの海外で「三木金物」が評価されているという。欧米の刃物は、全鋼で強いがもろい。日本の刃物は、鋼と軟鉄で作られており粘りがあり、折れず曲がらない。
その為、欧米のマニアには、日本の刃物や金物の人気が高い。「三木金物」も本物として人気があるそうだ。
世界のどこでも良い。職人が丹精を込めて作った本物の大工道具である「三木金物」が評価され、後世まで残り続けることを願っている。
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