書は心を写す 戦前の初等科習字教科書より

コラム

こんばんは。いろは君です!
昨日に引き続き、昭和十六年の初等科習字教科書(教師用)についてです。

表紙の写真は硯
巻頭明治天皇御製と昭憲皇太后の御歌
巻頭裏面の明治天皇御製と昭憲皇太后御歌の活字

教科書を開くと、最初に明治天皇御製と昭憲皇太后御歌が掲載されています。
達筆過ぎて読めないですが、明治天皇御製は「鏡にはうつらぬひとのまごころもさやかに見ゆる水茎のあと」という御製の歌になっております。
裏面には活字で書かれているので読めますが…(^^ゞ
意味は、「水茎」とは墨で書かれた筆跡のことです。人の本当の真心は鏡には写らないが、墨で書かれた筆跡にははっきりと映るというものです。

そして、昭憲皇太后御歌は、「とる筆のあとはづかしと思ふかな心のうつるものとききては」で、墨で書かれた筆跡は心が映るので気恥ずかしいと思うというものです。
どちらも「書は心を写す」というものでした。

最初にこの和歌があることは、墨で書かかれた筆跡には、心が映るので、姿勢を正して、丁寧に気持ちを込めて書くことが大切という習字教育の根本精神が現れています。
さらに教科書にある習字教育の目的には、古くより「書は心畫なり」(書は心えがくなり?)とか、「心正則筆正」などと云われる通り、書は人格の繁栄であり、又精神の発露でもある。・・・と書かれている。

初等科習字教科書のすべての巻頭にこの和歌が掲載されているということは、当時の人は、「書は人の心を写す」ことを理解していたことでしょう。
そのため、心を込めて書を書くという習慣が高く、達筆な方が多かったのでしょう。

しかし、書が心を写すといっても感覚的なものであったでしょう。
それを、今から40年ほど前に日本で初めて筆跡を科学的にも心理学的にも研究された方が日本筆跡診断士協会の森岡恒舟先生です。
いろは君は、森岡恒舟先生門下の筆跡診断士ですが、戦前の初等科習字教科書から、やはり昔から「書は心を写す」と言われていたのがよくわかり、筆跡診断士の活動とともに書の稽古にもより一層精進しようと改めて思いました!

コメント

  1. […] 書は心を写す 戦前の初等科習字教科書より | いろは君の源点回帰 (xdomain.… […]

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