日本仏教界で最も偉大な人物として知られるのが弘法大師・空海である。
真言宗の開祖であるが、他の宗派でも‟大師様”を信仰している。曹洞宗など禅宗の多い静岡でも、大師様を信仰している。その為、私も自然に大師様を崇敬し、信仰している。
しかし、ゆかりの地である四国に行くと〝お大師様〟と呼ばれており、その篤い信仰に驚く。
四国は生誕し修行された地だからだ。修行された八十八の霊場たどり巡礼するお遍路は今も盛んである。特に第七十五番札所の香川県・善通寺は、お大師様のご生誕地で、高野山、京都の東寺とともに三大霊場の一つとして知られている。
その善通寺にお参りした。



総本山・善通寺は、唐から帰国されたお大師様が、生家・佐伯家菩提の為、大同二年(八〇七)から六年の歳月をかけて建立した。父・佐伯善通の名を取り、善通寺と号した。
最初に建立した寺である。
四万五千㎡の広い境内に東院(伽藍)と西院(誕生院)がある。清らかな気が漂い荘厳な雰囲気がある。
東院の本堂は金堂ともいわれ、五重塔とともに国の重要文化財である。ご本尊は薬師如来である。
建築物は再建されたものだが、当時を知るものとして樹齢千数百年の大楠が二本ある。
西院の御影堂は佐伯家の館跡、ご生誕された場所に建てられている。宿坊「いろは会館」もある。
この宿坊に泊まり、朝六時から行われる御影堂での朝勤行に参加した。管長の法話を聞き、読経をし、地下にある「戒壇めぐり」をして、お大師様とご縁を結ばせて頂いた。
その他に数々の寺宝が展示されている宝物館や産湯井戸などもある。



お大師様は善通寺で過ごした幼少期、幼名「真魚」と呼ばれていた。周辺の五岳山などには幼少期の史跡が残る。エピソードから、聡明で信仰心の篤かったことがよくわかる。
当時と変わらぬ五岳山の風景は、お大師様の原点に想いを馳せさせる。
今年はご生誕一二五〇年である。善通寺をはじめゆかりの地では盛大に記念事業が行われる。
五十年に一度の記念の年にお参りできたことに感謝した。
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